Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Research Abstract |
1.日本法 本年は,在庫担保取引における物の供給者の立場に着目して研究を行った. 日本においては,バブルの崩壊以来,在庫の担保化の必要性が言われている.このような背景から,今次,動産の登録制度も創設された.このように,在庫に担保権を設定することを認めると,債務者の破綻に際して,在庫の担保権者と在庫の売主との優劣が問題となる.このような問題を解決するために,日本ではアメリカの購入代金担保権が参照されることがある.ところが,このような購入代金担保権の理解には問題があった. 2.アメリカ法 そこで,アメリカUCC第9編の購入代金担保権の規程の意義を明らかにするため,歴史研究を行った. まず,購入代金担保権の優先の法理が確立した,19世紀後半の鉄道会社の破綻のケースについて検討した.これにより,鉄道会社の破綻のケースが,アメリカ動産担保法の生成において重要な意義を有していたことが明らかになった.さらに,購入代金担保権の優先の法理は,設備担保取引を前提として成立し,新たな設備への資金調達を可能にするという意義を有していたことが明らかになった. 次に,19世紀末から20世紀前半にかけての在庫担保取引について検討を行った.ここでは,自動車産業における在庫担保取引の展開に着目した.当時の在庫担保取引においては,在庫上に担保権の設定を受けるのは,購入代金の融資者に限定されていたため,購入代金担保権の優先は問題とならなかった.このような取引形態を前提として起草されたUCC第9編は,在庫の購入代金担保権に厳格な要件を課しており,その優先は,実効的ではない. このようなアメリカ法の研究から,日本における購入代金担保権理解への問題提起を行った.なお,論文は未発表である.
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