Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
オキサテトラメチレンエタン(3-メチレンブタン-2-オン-1,4-ジイル,OTME)は,非ケクレ分子の酸素類縁体の一つである.特にそのラジカルカチオンの発生や観測は報告されていない.このOTME^<・+>型中間体の発生と観測を目的に,表題の研究を行った. まず,昨年度行った1,1-ジアリール-3-イソプロピリデン-4-メチルペンタン-2-オン-1,4-ジイルラジカルカチオン(2b^<・+>)の過渡吸収スペクトルの観測の帰属を,2b^<・+>の部分骨格である1,1-ジアニシルプロパン-2-オン-1-イルカチオン(3b^+)の吸収(546nm,フルオロスルホン酸,193K)との比較により行った.その結果,2b^<・+>はアセトニトリル中で530nmに吸収を持つと帰属した. これを受けて,本年度は,2,2-ジアニシル-4-イソプロピリデン-3,3-ジメチルシクロブタノン(1b)のHYゼオライトへの吸着による,2b^<・+>の発生と観測を主に検討した. ゼオライトは,その超分子立体効果により種々の開殻種の安定化効果と,対カチオンがH^+の場合の自発的酸化能が知られている.実際に1bを脱気中でHYに吸着させたサンプル(1b+HY)を利用し,生成物解析,拡散反射スペクトル(502nm),電子スピン共鳴スペクトル[g=2.003(3)】の観測を行ったところ,いずれも2b^<・+>の発生を示唆した.その結果から,2b^<・+>の電子状態が非分離型ラジカルカチオンであると帰属した.これらのスペクトルは,1b+HYを脱気下で1日以上保存した後でも観測可能である.これらの結果は,例の少ない反応中間体のゼオライトを利用した安定単離に成功したことを意味する. この他に,母体OTMEおよびOTME^<・+>のab initio計算やDFT計算による立体的および電子的構造の評価を行った。
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