低次元量子スピン系銅酸化物におけるマグノン熱伝導と磁気秩序
Project/Area Number |
03J50081
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川股 隆行 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2003 – 2005
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
|
Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 低次元物質 / 量子スピン系 / 単結晶育成 / 磁気秩序 / 熱伝導 / 輸送特性 / マグノン |
Research Abstract |
スピンによる熱伝導率の機構の解明と磁気秩序と熱伝導の関係を明らかにするため、低次元量子スピン系の熱伝導率の研究を行っている。 1.4本足梯子格子系La_2Cu_2O_5と5本足梯子格子系La_8Cu_7O_<19>の大型単結晶育成と熱伝導La_<2-x>Y_xCu_2O_5(x=0.02)とLa_<8-x>Eu_xCu_7O_<19>(x=0,0.08)の大型単結晶の育成に成功した。特に、La_8Cu_7O_<19>系の大型単結晶の育成は世界で初めてである。これらの系において熱伝導率を測定した結果、スピンによる大きな熱伝導は観測されなかった。この結果から、スピンによる大きな熱伝導を得るには、スピンネットワーク内の交換相互作用J^<intra>がJ^<inter>に対して十分大きいことが必要であると結論した。 2.S=1のハルデンギャップ系Y_2BaNiO_5の熱伝導 Y_2BaNiO_5の大型単結晶を育成し、熱伝導率を測定した。スピンによる熱伝導の大きさを見積もったところ、約100mW/Kcmであった。これは、第一励起エネルギーのバンド幅が大きければ、S=1のスピンギャップ系においても、スピンによる大きな熱伝導が実現する可能性を示した結果である。また、S=1のスピンギャップ系において、スピンによる熱輸送がバリスティックになるという理論的な指摘もあり、その可能性も残っている。 3.CuB_2O_4における磁気相転移と熱伝導 CuB_2O_4の熱伝導率を測定した。その結果、スピンによる熱伝導率は観測できなかった。しかし、反強磁性相から螺旋相への磁気相転移において、螺旋軸に平行な方向の熱伝導率は変化せず、螺旋軸に垂直な方向の熱伝導率のみ大きく変化することを発見した。このことは、螺旋相において磁気相関長に大きな異方性が現れたことに起因していると結論した。
|
Report
(3 results)
Research Products
(4 results)