Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
体性感覚情報に注意を向けることにより,その情報の脳内処理がどのような影響を受けるのか,そのような実験的な注意課題を反復練習することにより,脳や行動にいかなる変化が起こるのか検討した.指標には,脳のニューロンの電気活動から生じる事象関連電位(Event-related brain potentials : ERPs)を用いた. 体性感覚刺激によって誘発されるERPは,その刺激に注意を向けたときに増大した.つまり,注意により,体性感覚情報の処理に関わるニューロン活動は促進された.また,より多くの注意を向けるほど,ERPは増大した.しかし,注意の量によって変化を示さないERPも認められた. この注意課題の反復練習の結果,まず体性感覚刺激にのみ注意を向けて行った場合,課題の反復によってERPは低下していった.これはいわゆる慣れ(habituation)といわれる現象である.これに対し,体性感覚刺激を使った注意課題と視覚運動性の課題を同時遂行したとき(二重課題),ERPは課題の反復に伴い複雑な変動を示した.まず,ERPは増大し,次に低下し(慣れ),最後に増大した.最後にERPが増大するよりも先に,視覚運動性の課題でパフォーマンスの改善が認められた.最後のERP増大は,視覚運動性課題の習熟に伴い不必要になった注意処理資源が体性感覚課題に配分されたためと考えられた. 本研究から,注意は感覚の種類を超えて配分されうること,運動学習には慣れや感覚モダリティを超えて配分される注意量が関係することが明らかとなった.
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