Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
人間を含めた動物の歩行は,複雑な筋骨格系,脳神経系,そして環境との相互作用から実現される非常に巧みで,適応的な運動である.動物は,環境の変化や,外乱に対して適応的に対応し,歩行を持続させる.この歩行原理の解明に向けて,多くの研究が進められている.特に神経生理学の知見から,動物の歩行は脊髄に存在するCPGと呼ばれるリズム生成器に生成されることが明らかとなっている.このCPGは非線形振動子を用いて広くモデル化され,特に次のような特徴を持つ.1.CPGは自発的に周期的なシグナルを生成し,動物の四肢はこのシグナルによって駆動される.2.CPGは外部センサ情報に敏感であり,このセンサ情報に従って生成するシグナルを調整する. 本研究ではH15,16年度において,このCPGの特徴を用いて2脚ロボットの歩行制御系を設計し,環境の変化や外乱等に対して適応的な歩行を実現した.制御系には非線形振動子を用い,そのリズム信号から関節の運動を生成し,接地センサを用いてリズム信号を調整することで,適応的な運動を実現した.ただし,これらは数値解析,実機実験により実現したものであり,どのようなメカニズムで,適応的な運動が形成されるかは不透明であった.そこで本研究では,この現象の本質を見極めるために,運動に必要最小限の要素を取り出したシンプルなモデルを用いて,厳密に運動を構成し解析することで,これらCPGの特徴を用いて運動を生成し制御することが,いかにして適応的な歩行実現に結びつくかを解明することを目的とした.ポアンカレ写像を用いた詳細な安定解析から,振動子からのリズム信号に駆動されるロボットが,安定な歩行を実現し,更にセンサ情報を用いて運動を調整することで,より安定でロバストな歩行が実現されることが明らかとなった.これら解析結果は,CPGの特徴を用いた非線形振動子に構成される歩行制御系により,適応的な歩行を実現する示唆を与えるものと考えられる.
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