強相関係物質のバルク敏感分光測定法による電子構造の研究
Project/Area Number |
03J52751
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biophysics/Chemical physics
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠井 修一 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 銅酸化物 / 超伝導 / 角度分解光電子分光 / バルク / 高温超電導体 / 強相関系 / 光電子分光 / フェルミ面 |
Research Abstract |
強相関系物質と呼ばれる電子間のクーロン相互作用が強い物質では、しばしば表面と物質内部(バルク)の電子状態が異なっている。この種の物質に対して、バルク敏感な測定は真の電子状態を調べるために不可欠である。角度分解光電子分光(ARPES)はフェルミ面・バンド構造などの電子構造の波数依存を直接的に調べることができる実験手法である。しかし一般的に用いられてきたARPESは紫外線領域の光を用いており、この場合は観測する電子の平均自由行程の小ささ(数Å)から表面の電子状態しか調べることは出来ない。一方、高エネルギー(軟X領域)の光を用いた場合、電子の平均自由行程の増大(数十Å)によりバルク敏感性が増し、真の電子状態の調査が可能になる。本研究は高分解能の高エネルギー光電子分光法を駆使し、強相関系物質の一つである銅酸化物高温超伝導体La_<2-x>Sr_xCuO_4のバルクの電子構造を明らかにする事を目的としている。hv=500eVの励起光を用いて、Cu2p内殻光電子スペクトルと価電子帯光電子スペクトルを調べた結果、バルクにおいて頂点酸素のCuO_2面への寄与が表面よりも大きくなっていることを見出した。またこの頂点酸素の影響の違いにより、バルクと表面でフェルミ準位近傍の電子構造・フェルミ面が異なっていることがわかった。オーバードープ・オプティマル領域組成においては(0,π)(π,0)点付近でバンド分散がバルクでより広くなることで電子的なフェルミ面を形成し、この運動量空間位置で頂点酸素とCuO_2面との結合が強くなっていることがわかった。またアンダードープ域では(0,π)(π,0)点付近で母物質絶縁体による影響が見られ準粒子が不安定になっている様子が見られた。これはアンダードープ域での輸送特性における強い異方性と関連があると思われる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)