Research Abstract |
従来の制御理論のみでは対応できない非線形制御および学習制御などの問題を解決する一つの方針として知的制御が注目を集めている.知的制御を制御系に組み込むことにより,学習機能,適応機能を制御系に持たせ,環境を含む制御対象の変化や不確定要素の影響に対応可能であるなど,従来の線形制御理論では困難であった様々な効果が期待されている.また,近年,動的に変化する環境に対して効果を発揮する制御システムとして,視覚センサや画像処理を制御システムに組み込むことが注目されており,制御の可能性の拡大が期待されるとともに新たな設計論の確立が望まれている. 本研究では,非線形システムの制御問題に対して有効な,体系的な設計手法として,よりロバストで適用範囲の広い統合型ニューラルネットワーク知的制御手法を確立することを目的とした.下記に示す3つの課題に対して提案する知的制御手法を適用し,具体的な制御系設計法の一例を提示し,数値シミュレーションと制御実験により提案手法の有効性を確認した. 1)キュービックニューラルネットワーク知的制御のロバスト性と耐故障性 (スライディングモード制御との比較・検討) 2)二重振子の任意平衡点への知的安定化制御 3)ステレオ視を用いたビジュアルフィードバックによる二次元倒立振子の安定化制御 1)耐故障性やロバスト性を有する制御系の設計法として,定性化を特徴とするキュービックニューラルネットワーク(CNN)知的制御手法を発展させ,制御性能の詳細な検証を行い,その適用可能性を広げた. 2)複数の平衡点を有する非線形性の強いシステムなど,体系的な設計が困難な制御問題に対して統合化知的制御手法を提案し,目的の異なる複数の制御器を併合して用いることで非線形,多目的,あるいは複雑な制御問題に対して有効な,知的制御を用いた体系的な制御系設計法を確立した. 3)ビジュアルフィードバック制御の分野において,動的対象を認識・制御する問題に対して,画像情報を用いる制御系が有効であることを示し,その応用の可能性を広げた.
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