Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
「送り手の細胞(入力細胞)がスパイクを送ったとき,シナプスを介してそれを受け取った細胞(出力細胞)が発火すれば,そのシナプス結合は強化される」というHebbの仮説は,提唱以来様々な神経ネットワークにおいて実験的検証がなされ,現在では樹状突起を逆伝播する活動電位がこの学習則の成立に重要な役割を担っていることが知られている.塚田は入力-入力間のタイミング依存性とその履歴効果を考慮した時空間学習則を提案し,モデルを用いてパターン分離能力の飛躍的向上を示してきた.本研究では,出力スパイクに依存しない入力-入力タイミング依存性LTPの性質を調べ,時空間学習則の実験的検証を試みた. フィールドポテンシャル計測法を用いて,海馬CA1放線層の独立した二つの経路へそれぞれ低頻度(0.2Hz)のバースト刺激とパルス刺激を同時に与えたときに後シナプス樹状突起に形成されるLTPの大きさについて検証した.通常の実験条件下(コントロール)ではバースト刺激とパルス刺激が形成するLTPの増強率には有意な差は見られなかった(155.5±11.5(SEM)%vs.149.8±9.6%;N=9;P>0.05).パルス刺激はそれ自身ではLTPを生じなかった(103.4±6.0%;N=6)ので,後者のLTPはバースト刺激との連合により形成されたと考えられる.本研究ではさらに,灌流液中に低濃度(10-20nM)のTTXを混入し,樹状突起の逆伝播活動電位を消滅させた状態でも,パルス刺激のみを与えた場合と比べて有意な連合性LTPが形成されることを示した(122.1±5.8%;N=11vs.103.4±6.0%;N=6;P<0.05).言い換えれば,連合性LTPは逆伝播活動電位と無関係(独立)に誘起された.このような連合性LTPの逆伝播活動電位からの独立性は,時空間学習則の妥当性を実験的に証明するものである.
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