互変異性および逐次錯形成反応にかかわる溶存平衡化学種の体積評価
Project/Area Number |
04640463
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川泉 文男 名古屋大学, 工学部, 助教授 (40023204)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Keywords | 部分モル体積 / 逐次錯形成 / 体積変化 / RISM |
Research Abstract |
本研究は 1)ケト-エノール互変に関する研究と 2)逐次錯形成反応に関する研究部分とより成るよう計画されたが、以下にその具体的成果内容を記述する。 前者についてはRISM理論に基づく統計力学的取扱いと既報の実測データの解析を行った。conformationalな変化をどの様にRISM理論で考慮すべきか色々試みた。未だ具体的な計算結果を得るまでには至らなかったが、進むべき方向は見えてきた。 後者については水中におけるCu(II)-phen(フェナントロリン)の系、及びZn(II)-bpy(2.2-ビピリジン)の系での測定を行った。水溶液中のCu(II)とphen、あるいはZn(II)とbpyとの錯形成反応ではM^<2+>+L→[ML]^<2+>,[ML]^<2+>+L→[ML_2]^<2+>,[ML_2]^<2+>+L→[ML_3]^<2+>の3つの錯形成段階が極めて明瞭に分離している。濃度10^<-2>molのCu(NO_3)_2とZn(NO_3)_2水溶液を溶媒として種々のbpyあるいはphen濃度における溶液の密度測定を行った。本研究補助金で購入した循環型恒温水槽は6桁という超精密な密度測定を円滑に遂行するのに大いに役立った。密度より錯生成定数を用いて各測定濃度におけるM^<2+>,[ML]^<2+>,[ML_3]^<2+>の存在割合を計算し"仮想溶存錯体"[ML_1](NO_3)_2の部分モル体積を求め、この値がそれぞれの化学種の部分モル体積の和からなりたつと仮定して繰り返し計算によりM^<2+>,[ML]^<2+>,[ML_2]^<2+>及び[ML_3]^<2+>のV_2^0を見積った。V_2^0(M^<2+>)とV_2^0([ML]^<2+>),V_2^0([ML_2]^<2+>),及びV_2^0([ML_2]^<2+>)とV_2^0([ML_3]^<2+>)の差より各鎖生成段階ごとの体積変化を決定することができた。この手法は筆者らが近年(Chem.Lett.,1775-1758(1991)提唱したものであるが、この方法がかなり広い適用性を備えたを備えたものであることも実証されたと言ってよい。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)