多核種NMRによる遷移金属クラスター錯体の溶液内での電子状態と動的挙動の解析
Project/Area Number |
04640571
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
無機・錯塩・放射化学
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
永澤 明 埼玉大学, 理学部, 助教授 (40108452)
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Project Period (FY) |
1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1992)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1992: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 遷移金属錯体 / 多核NMR / クラスター錯体 / 金属ー金属間結合 / カルビン錯体 / 溶存状態 / 前期遷移元素 / 配位結合 |
Research Abstract |
遷移金属クラスター錯体や金属ー配位子多重結合をもつ錯体の溶液内での多核NMRスペクトルを測定し,単結晶X線構造解析や各種の分光学的・電気化学的測定の知見と併せて考察し,多核NMRの化学シフトなどの値が錯体の配位子の種類,金属イオンの酸化数,金属ー配位子や金属ー金属間の結合の性質とどう相関するかを明らかにした. 1.モリブデン三核錯体[Mo_3(μ_3-CCH_3)_2(μ-CH_3C0_2)_6(H_2O)_3]^<2十>の酸性溶液中での^<95>MoNMRシグナルは,μ_3-オキソ配位子をもつ類似の三核錯化に比べて高磁場に現れ,モリブデンの形式酸化数が平均4.7と高く,金属ー金属間結合が弱いことが説明された. 2.カルビンが配位したタングステン錯体を合成単離した.一般式は[W(CR)CL(CO)_2(dppf)](dppfニジフェニルホスフィノフェロセン,R:置換基)で,R=Phの錯体については単結晶X線構造解析して,金属ーカルビン炭素間に三重結合があることを確認した.^<183>W NMRシグナルは置換基Rのπ電子供与性が大きいほど高磁場に現れ,その化学シフトの電子スペクトル極大波長やカルビン炭素^<13>C NMR化学シフトとの相関が見出された.電気化学的測定の結界と併せて考察し,金属ー配位子のπ相互作用の大きさが金属核NMRの化学シフトに反映されていると結論した. 3.ニオブ(V)錯体でオキソ,スルフィド,エタンジオール,エタンジチオールなどを配位子とする一連の化合物の^<93>Nb NMRを測定し,その化学シフトが配位原子をOからSに変化させたとき低磁場への移行することや,さらに低酸化数のニオブニ核錯体においては,金属ー金属間結合の次数が増加するほど^<93>Nb化学シフトが低磁場に移ることを見出し,金属ー金属間結合や金属ー配位子間のπ電子相互作用が重要であることを明らかにした.
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Report
(1 results)
Research Products
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