ウシ乳房炎由来K.pneumoniaeの多くは125メガダルトン(Md)のプラスミドを保有しており、本プラスミドが病原性に関与していることが推察されている。本研究の目的はその125Mdプラスミドが、どのような形質を担っているのか、さらに乳房炎発症にどのような役割を果たしているのかを解明しようとするものである。以下、本研究において得られた知見について述べる。 1.125メガダルトンのプラスミド保有する31株と保有しない16株計47株を用いて18種の抗生物質に対する感受性試験を行い、その耐性パターンについて比較検討した。その結果、125Mdプラスミド保有株と非保有株との間には耐性パターンの相違はほとんど認められなかった。 2.125Mdプラスミッドを保有する31株中5株から本プラスミドを抽出、制限酵素により切断し、そのパターンを調べた。その結果、すべて同様の切断パターンを示した。したがって、これら、ウシ乳房炎由来K.pneumoniaeから分離された125Mdプラスミドは同一のものであることが判明された。 以上の事から、乳房炎由来K.pneumoniaeの保有する125Mdプラスミドは薬剤抵抗性とは直接関連せず、その他なんらかの性状を担っているものと思われた。本研究において、125Mdプラスミドが、毒力に関与しているということを証明する事は出来なかった。現在、マウスによる毒力の比較を検討中である。さらに、125Mdプラスミド脱落株を分離中である。脱落株が得られると、本プラスミドの性状がより詳細に判明すると思われる。
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