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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究では,ヒト癌細胞であるHela細胞を用いてCATassayを行い,ヒトのH^+‐ATP合成酵素のsubunit b遺伝子の第1イントロン内に約16倍もの転写活性を促進するエンハンサーが存在することが明らかとなった.なお,第1イントロンを解析する場合は,subunit b遺伝子の開始コドンとCAT遺伝子の開始コドンの2つが存在することから,フレームシフト等の問題が生じる可能性が考えられたのでmRNAの発現量を直接比較することが出来るRibonuclease protection assay(RPA)法を用いた.ついで,この高い転写活性を持つエンハンサーは,本遺伝子の+160〜+186までの27bpに存在することが明らかとなった.そのエンハンサーは,Sp1タンパク質が結合する配列と100%のホモロジーを示したので,次に部位特異変異体を導入した遺伝子を用いてRPA法を行ったところ,いずれの遺伝子においても転写活性が減少した.特に,Sp1タンパク質が結合すると予測した変異体においては,転写の活性が低下した.さらに,その部位への蛋白質の結合をゲルシフト法によって確認したところ,3〜4種の核抽出蛋白質が第1イントロン内のエンハンサーに結合することが確かめられた.次にsubunit b遺伝子の5'上流領域について解析したところ,-1.3kbp-466bpの間に強力なサイレンサーエレメントが存在すること,そしてGCboxが転写に関係していることが明らかとなった. 現在,当研究室では,ヒトのH^+-ATP合成酵素のFoサブユニットの1つであるsubunit c遺伝子(2種)の解析も行っており,subuni b遺伝子の上流領域のついての解析との比較検討とin vitro転写系の開発により,ミトコンドリアの形態形成に関わる核遺伝子の制御システムが解明されるものと期待される.
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