Research Abstract |
チアカリックス[4]アレーン(TCA)の架橋硫黄酸化体であるスルホニルカリックス[4]アレーンのテトラO-メチル誘導体へのBuNHLi,i-PrNHLi,およびPhCH_2NHLiの芳香族求核置換反応を行い,その際の位置および立体選択性を調べた。その結果,試薬の当量を制御することにより,モノ,ジ,およびテトラ置換体をそれぞれ選択的に得ることができた。この際,ジ置換体は,全ての試薬についてsyn-1,3-体のみが得られた。このことから,リチウムジアミド試薬を用いれば,本反応を利用してカリックスアレーンを2量化できると考えられる。また,テトラ置換体は試薬の種類により優先的に得られる立体異性体に違いが見られた。 また,TCAの水酸基のp-位tert-ブチル基をすべて除去し,テトラO-メチル誘導体としたのち,1つのメトキシ基のp-位を臭素化し,メタル化を経て,炭酸化することにより,硫黄原子団で架橋されたカリックス[4]アレーンのモノカルボン酸を始めて合成することができた。これをエステル化して,種々の求核試薬の芳香族求核置換反応を試みたが,メトキシ基が置換した生成物は得られなかった。 本研究は,カリックスアレーンの全く新しい化学修飾法を提示するものであり,高機能性ホスト分子の設計・合成に大いに役立つと期待される。得られた成果の一部は,第13回超分子化学国際会議[平成16年7月25〜30日,インディアナ(米国)]にて発表した。
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