Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
リーマン多様体の間の写像に対しては,曲線の長さや曲面の面積の一般化として,自然なエネルギーを定義することができる.しかし,フィンスラー多様体の間の写像に対しては,曲線の場合には同様のエネルギーの定義が自然な意味をもつものの,定義域の多様体が高次元の場合には写像のエネルギーをどのように定義すればよいかは自明ではない. この問題に関して,2000年にP.Centoreは,フィンスラー計量から自然に定まる距離に注目し,距離空間の間の写像に対して一般化されているエネルギー汎関数の臨界写像と同等な臨界写像をあたえるエネルギーの定義を見いだした.しかし,このエネルギー汎関数の臨界写像と,フィンスラー計量の曲率との関係は,エネルギー汎関数の第2変分の計算が困難なため,一般に明らかでない. この難点を回避するため,研究分担者SangoはCentoreによるエネルギーの定義を修正し,より特別な場合を考察した.すなわちCentoreの定義においては,エネルギー汎関数の定義式において,変数xとyは写像の定義域であるフィンスラー多様体Mの接バンドルTMの点(x,y)∈TMとして,独立に任意の値をとりえるのであるが,Sangoの定義においては,TMの適当な断面y:M→TMを考えることにより,yはxの関数y(x)として制御される. このことにより,Centoreの定義の際に起こる困難は回避され,エネルギー汎関数の第1変分と第2変分を具体的にもとめることができ,その結果,臨界写像としてえられる調和写像に対するWeizenbock-Bochner型の公式を証明することに成功した.しかし,この定義によるエネルギーは,定義域の接バンドルTMへの断面y:M→TMの選び方にも依存するため,このようにしてえられる調和写像がどのような幾何学の問題に有効であるかは,現在の所不明である.
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