ビフィドバクテリウム属細菌の胆汁酸耐性機構のエネルギー代謝解析
Project/Area Number |
04F04199
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Applied microbiology
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
横田 篤 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PETER Kurdi 北海道大学, 大学院・農学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 胆汁酸 / コール酸 / Bifidobacterium / Lactobacillus / プロトンコンダクター / 膜電位 / 細胞内pH / 生育阻害 |
Research Abstract |
プロバイオティクス腸内乳酸菌(Lactobacillus属,Bifidobacterium属菌)が消化管内で有用機能を発揮するためには,腸管内ストレス因子である胆汁酸に耐性を示す必要がある.胆汁酸の生育阻害/耐性の分子機構は十分解明されていないため,受入れ研究者はその解明に取り組んでいる.これまでに,胆汁酸の腸内乳酸菌に対する生育阻害濃度を決定し,それらの濃度と細胞の生体エネルギーであるプロトン駆動力の膜電位(ΔΨ)とプロトン濃度勾配(ΔpH)が消去される濃度が一致することを見出した.本研究では胆汁酸が示すこのようなプロトンコンダクター作用の分子機構の解明を目的とした. (1)合成プロトンコンダクターPCPは,胆汁酸と同様にΔpHとΔΨを消去したが,胆汁酸の消去カイネティクスが添加濃度に対応して段階的であるのに対して,PCPのそれは連続的であった.従って両者の作用機構は異なると考えられた. (2)代謝阻害剤の実験から,胆汁酸の作用点はエネルギー生成の代謝経路ではないことが示唆された. (3)胆汁酸は濃度依存的に細胞膜に損傷を与え,生菌率を低下させた.一方,PCPは膜損傷を起こさず,生菌率も低下させなかった. (4)菌体から抽出した膜脂質により膜小胞を調製し,pH勾配の解消をモニターした.pH勾配はPCPによってごく低濃度で解消したが,胆汁酸では生育阻害を示す高濃度になって初めて解消された.この際,膜小胞内の蛍光pHプローブpyraninの漏出が認められた. (5)以上の結果より,胆汁酸は細胞膜に損傷を与え,プロトン,その他のイオン,低分子の細胞内成分を漏出させ,細胞のエネルギーが失われて生育阻害と細胞死を招くものと考えられた. (6)以上の結果は,胆汁酸の作用機構を明らかにした初めてのものであり,その成果をJournal of Bacteriology誌に投稿中である.
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)