Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Research Abstract |
チベット高原ではヤク(Bos grunniens)・ヒツジなどの放牧が行われてきたが,過放牧などによる植生・土壌の荒廃。劣化が懸念されている。そこで,ヤクの放牧強度(軽-L区・中-M区・強-H区・対照-C区・禁牧-E区)が植生群落構成に及ぼす影響を明らかにし,適正な放牧密度を推定することを目的として実験を行った。 植被率は,2005年には,H区とM区がL区よりも低く,C区は3放牧区より高かった(p<0.05)。2006年には,放牧強度が高くなるに従って植被率の低下割合が大きくなった(r=-0.86,p<0.05)。群落高は,2005年には放牧区間には有意な差はなかった。 2006年には,群落高が放牧強度と高い負の相関を示した(r=-0.998,p<0.0001)。2006年の総出現草種数は,M区の47種がもっとも多く,E区の32種が最も少なかった。優占度はH区とM区ではC区と比べ優良野草のStipa purpurea, Elymits nittans, Poa pratensis, Koeleria cristataなどが若干低いものの一定の傾向を示さなかった。E区ではFestuca sinensis, Poa pratensis, Elymus nutansなど草高の高いイネ科野草の優占度が高かった。放牧強度が植生群落構成に及ぼす影響に対する評価はさらに長期間行う必要があると考えられた。 地上部現存量は,2005年では放牧強度と負の相関(R=-0.903,p<0.1)を示し,2006年ではH区,M区がL区よりも低く(p<0.05),放牧強度との間に高い負の相関(r=-0.987,p<0.01)を示した。前年度の同じ時期と比較しH区とL区の地上部現存量が大きく減少した(p<0.05)。地上部現存量はH区でも240gDM/m^2あり多いと考えられるが,寒季の野草の枯死期にも放牧されることから,2才のヤクの放牧密度は1.8頭/ha以下にすべきであると考えられた。
|