Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
非自明な背景時空上における弦理論の研究は、初期宇宙やブラックホールといった対象について量子論的な考察を行う上で重要な手がかりを与えると考えられており、近年の理論高エネルギー物理学における主要なテーマの一つである。弦理論の非摂動論的側面の解明にはD-ブレーンと呼ばれる高次元物体の振る舞いを調べることが有用であり、本研究は曲がった、あるいはダイナミカルな背景時空上のD-ブレーンを共形場理論の立場から解析しようというものである。また、ここで現れる場の理論は、弦理論の物理だけでなく、低次元物性物理等、きわめて広い分野の物理において理論的基礎を与えるものであり、弦の物理以外に応用の可能性があるという点でも興味深い。本年度は主として、以下のテーマについて研究を行った。弦理論の顕著な性質の一つとして双対性と呼ばれる離散的な対称性があり、これを用いて必ずしも幾何学的解釈を持たないような弦の背景時空を構成する試みがある。これについて、特にT双対性とよばれる対称性を用いて共形場理論のモデルの構成を行い、特にその背景上のD-ブレーンをオービフォールドの理論を用いて構成し、その詳細な解析を行った(菅原祐二氏(東京大学)との共同研究)。また、より具体的、かつ現象論的に興味のある例として、T双対性をK3多様体のミラー対称性に応用し、そのうえの弦理論のコンパクト化について議論した(菅原祐二氏との共同研究)。これらについて現在論文を準備中である。
All 2006 2005
All Journal Article (5 results)
Physical Review D 73
Pages: 106004-106004
Pages: 106003-106003
Physical Review Letters 96
Pages: 31301-31301
Bulgarian Journal of Physics 掲載予定
Journal of Physics A (発表予定)