Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、光格子中に捕獲された、ボーズ凝縮またはフェルミ縮退したイッテルビウム原子を用いて、全く新しい光周波数標準を開発することを目的として、研究を進めてきた。光格子中に捕獲された原子団は量子縮退程度まで冷却されると格子間でホッピングや近接原子との相互作用などが一般的に無視できなくなり、ボーズハバードモデル、もしくはハバードモデルにより記述されると考えられる。その際は、固体中での電子系のように相関の無視できない多体問題の物理現象を引き起こす。光格子中に捕獲された原子を分光などの手段を用いて、光周波数標準に応用するためには、このような物理を十分理解することが必要である。これらは本研究の遂行にはとても重要な鍵となるものであるが、世界的にみてもこれら研究はまだ始まったばかりであり、その物理は十分に解明されていない。そこで光格子中に捕獲された原子団の振る舞いを研究するために、非常に優れた実験装置を持っているスイス連邦工科大学チューリッヒ校に滞在し、Tilman Esslinger教授らと共同で三次元光格子に捕獲された原子団の研究を行った。その結果、フェルミ縮退領域まで十分冷やされたカリウム原子のフェルミ同位体を用いた実験において、相互作用を変化させることにより、光格子中に捕獲された原子の動的振る舞いを変化させることに成功した。これには多体問題としての原子相関が寄与していると可能性があり、非常に興味深い。
All 2007 2006
All Journal Article (2 results)
Physical Review Letters 98
Pages: 30401-30401
Applied Physics B 83(1)
Pages: 107-107