Project/Area Number |
04J00380
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井出 純哉 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 日周期活動スケジュール / 体温調節 / ハラスメント / 日光浴 / 吸蜜 / ベニシジミ / 配偶行動 / 配偶者選択 / 日周期活動パターン / 訪花 / 産卵 / 気温 |
Research Abstract |
蝶の成虫の一日の行動スケジュールを戦略としてとらえ、ベニシジミを対象に蝶が一日の時間をどのように活用しているかを明らかにする研究を行った。 まず、一日の活動パターンを一個体追跡によって明らかにした。本種のオスは8時台〜15時台に主に活動し、ほぼ終日花などにとまって交尾するためにメスを待伏せていた。花の蜜を吸う行動は一日の後半に多く見られる傾向があった。メスはオスに比べて活動の開始が遅れて10時台〜15時台に活動した。前半は主に産卵行動が、後半にはオス同様に吸蜜が見られた。 メスの活動開始が遅れるという現象は蝶ではしばしば観察されている。これまでの説明では、メスの体重がオスに比べてやや重いため飛ぶには比較的高い体温が必要であり、気温が上がるまでメスの活動開始が遅れるとされて来た。しかし、本種が飛行することのできる最低の体温を測定したところ雌雄間で差がなかった。一方、野外での体温を測定すると午前中は同時刻ではメスの体温が低い傾向が見られた。従って、本種では午前中のメスの体温上昇が遅れるために活動開始に差が生じていると考えられた。 雌雄両方の行動を詳細に検討した結果、午前中の体温上昇の違いはメスがオスのセクシャルハラスメントを回避する行動を進化させているためであることがわかった。本種のメスは生涯で一回しか交尾をしないため、一度交尾をした後ではオスに求愛されても産卵などの行動の邪魔になるだけで利益は全くない。そのため、同種が接近して来たら翅を閉じる。こうするとオスに発見される割合が有意に低下しセクシャルハラスメントを避けることができるが、一方で日光浴が中断し体温調節に悪影響が出てしまう。特に朝8時台から10時台にかけては他個体の接近によって日光浴をしている時間が顕著に減少していることが分かった。このため、この時間帯にはメスの体温がオスより低くなってしまい活動開始が遅れるのだと考えられた。更に、他種の接近に対しても同種かどうか区別が付かずに反応して翅を閉じてしまうことが70%ほどの確率で見られた。他種の接近回数は同種の接近回数の4倍ほどもあるので、その体温調節への影響も甚大であると考えられた。
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