フタバガキ科樹種における遺伝子散布の近交弱勢回避仮説の検証
Project/Area Number |
04J00889
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
竹内 やよい 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 種子散布 / 花粉散布 / フタバガキ科 / 逃避仮説 / 移住仮説 / 近交弱勢 / Shorea / Dipterocarpus / 熱帯雨林 / 種子捕食 / ランビル国立公園 / Shorea laxa / Dipterocarpus tempehes |
Research Abstract |
今年度の研究では、更新における種子・花粉散布の役割を(1)逃避仮説(2)移住仮説(3)近交弱勢回避仮説の3つの観点から評価することを目的とした。 調査は、マレーシアサラワク州ランビルヒルズ国立公園で行った。種多様性の高いフタバガキ科の種は、同じ科・属内でも異なる種子、花粉媒介者をもつ。そこで、この科のなかから種子花粉散布の異なる4種を選択した。それは、Dipterocarpus globosus(種子に翼あり、オオミツバチ媒),D.tempehes(種子に翼なし、オオミツバチ媒),Shorea beccariana(種子に翼あり、甲虫媒),S.laxa(種子に翼なし、甲虫媒)である。 野外調査では、4種稚樹の成長・生残を4年間追跡した。そこから、相対成長速度を算出し、同種成木からの距離、同種密度、環境、近親交配の影響などのうち、どの要因に影響されるかについて解析した。近親交配の程度は、マイクロサテライトマーカーを用いて、内的血縁度(IR)、標準化ヘテロ接合度(sMLH)、標準化mean d2の3つの値で予測した。そして、これらの要因をステップワイズ重回帰によって解析した。結果として、D.globosusの稚樹の成長には近交弱勢の影響が検出された。またD.tempehesの稚樹ではサイズクラスが上がると、IRの平均値が下がることから、間接的な近交弱勢が起きていることが示唆された。これらの種は、近交弱勢回避仮説を支持する。Shoreaでは近交弱勢は検出されなかったが、S.beccarianaは移住仮説を最も強く支持した。一方で、S.laxaの遺伝子散布の意義は見出せなかった。このように、散布の意義は種間で異なり、また近距離散布の種もその不利益を克服するメカニズムを持っていると考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)