Project/Area Number |
04J01058
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Economic doctrine/Economic thought
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
村井 路子 (2005-2006) 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
福井 路子 (2004) 京都大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | モラル・エコノミー / ロバアト・オウエン / 生存権 / E・P・トムスン / パターナリズム / 18世紀イギリス / 社会思想史 |
Research Abstract |
まず、一章分の訳を担当した『自由と所有』(ナカニシヤ出版、2006年)が出版された。また、『イギリス哲学・思想事典』において「E・ホブズボーム」「E・P・トムスン」「ロバアト・オウエン」という3人の人名項目を執筆担当した。また、『イギリス哲学研究』において『ウェッブ夫妻の思想と時代』(名古忠行著、法律文化社、2005年)についての書評を担当した。大学院のワークショップにおいて、指導教官のもとでおこなわれた、LJA(アダム・スミス『法学講義Aノート』)の一部の下訳(30ページ前後)を担当した。この3年間続けて取り組んだテーマは、モラル・エコノミーをめぐるものであった。第一に、歴史家トムスンのモラル・エコノミー論をパターナリズムの視点から再考した。第二に、パターナリストとされるロバアト・オウエンの思想研究を、モラル・エコノミーの観点から取り組んだ。今年度は報告のチャンスに恵まれ、貴重な意見を受けることができ、前進したはずである。その結果、研究課題の中心であるモラル・エコノミーについての理解と今後必要である研究課題がかなり深まったように思われる。モラル・エコノミーは、最近の研究において一般に生存権と重ねて考えられることが多い概念であるが、生存権と重ねると、現代的な通念にしたがって、貧民の困窮した状態と政府のナショナル・ミニマム策の相互要求関係というように、必要最低限の生活保障の決まり方もしくは決め方の歴史と同一視して捉えられていることが多い。しかし、少なくとも18世紀末のイギリス文献を整理している段階において、支配者階級は貧民の生活の消費や期待に対して、むしろその最大限を抑える態度を表している。トムスンのモラル・エコノミーの、ナショナル・ミニマムとは別のもうひとつの終局である労働者階級の形成について、再び研究がおこわなれるべきである。生存権のもうひとつのルーツといえるのかもしれないが、現在の研究においてこれは見過ごされていることがわかり注目している。オウエンについては、研究費によって、国内ではなかなか入手できなかった書籍も購入することができた。今年は文献収集と整理に励んだ。
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