Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
コミカンソウ科(従来のトウダイグサ科コミカンソウ亜科)に含まれる5属25種の植物について,琉球列島,台湾,ラオス,マダガスカル,およびアメリカ合衆国における野外調査に基づき,その送粉様式を解明した。前年度までの研究から,コミカンソウ科にはカンコノキ属のように種子食性のEpicephala属ホソガとの間で送粉をめぐる特殊な共生関係が見られる種群が知られていたが,このような共生関係が3属5種群にわたって系統的に幅広く見られることを明らかにした。またこれらの植物について葉緑体,および核遺伝子の塩基配列を用いて系統関係を明らかにしたところ,コミカンソウ科において絶対送粉共生系が複数回独立に進化したらしいことが分かった。一方のEpicephala属においては送粉行動は一度だけ起源し,その後二次的に一度失われていた。これらの結果から一見複雑な相互適応を伴うと考えられる絶対送粉共生系が,実際には容易に繰り返し進化しうることが示唆された。 また絶対送粉共生系が見られるカンコノキ属において,Epicephala属ホソガとの間の種特異性に関する詳細な解析を行った。琉球列島および台湾に生育するカンコノキ属植物5種について,送粉者であるEpicephalaをさまざまな地点から採集し,ホソガのミトコンドリア,および核遺伝子の塩基配列,および雄の交尾器形態を解析したところ,両者は互いに高い種特異性を示すものの,一部の組み合わせでは1種の植物上に2種のホソガが共存するといった関係が見られた。こうした結果はこれまで考えられてきた1対1の種特異性が通例でないことを示すとともに,両者の間の複雑な種間関係が種分化や多様化に及ぼす影響を考えるうえで重要な知見をもたらした。
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