Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
若年期発症の社会不安は予後が悪く,児童青年期から学業上・対人関係上の困難をもたらすため,早期介入・予防が喫緊の課題である。そこで,本研究では子どもの社会不安に対する早期介入・予防のための認知行動プログラムを開発し,プログラムの学校環境における適用可能性について検討した。 はじめに,首都圏の公立中学校の1・2年生各1学級を対象に,計3時限の社会不安に対する早期介入・予防プログラムを実施した。プログラムはリラクセーション法,社会的スキル訓練,認知的再体制化の3要素で構成した。プログラム実施後の社会不安得点は有意に減少し,ネガティブな認知にも改善が見られた。プログラム実施前の社会不安得点が特に高かった高特性者においても,同様の効果が得られた。また,対照群を設定したフォローアップ調査の結果,高特性者の1年後の社会不安得点に有意な差が認められた。このことから,本研究で開発したプログラムは,社会不安の低減・予防に対して有効であることが示された。 次に,プログラムの適用可能性にかかわる要因を検討するため,首都圏近郊の公立中学校に勤務する教員15名を対象に質問紙調査を行った。その結果,8割の教員が社会不安の高い児童生徒と日常的に接しており,効果的なプログラムが提供されれば使用してみたいと考えていることが示された。また,プログラムを実施する上での最大の障害は授業時間が確保できないことであったが,1年間に129分(1授業を45分とすると約2.87回)程度の時間ならば実施可能であることが明らかにされた。このことから,本研究で開発したプログラムは学校環境の中で適用・維持可能なものであることが示された。 本研究の意義として,社会不安に対する包括的な学級介入プログラムを開発したことが挙げられる。今後はプログラムの成果を維持・増大させるために,個別介入との併用などを検討することが望まれる。
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