トクヴィルのデモクラシーと啓蒙との関係及び現代の民主的思惟様式と自由の考察
Project/Area Number |
04J01721
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Waseda University |
Research Fellow |
高山 裕二 早稲田大学, 政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | トクヴィル / デモクラシー / 個人主義 / 世論 / ロマン主義 / 宗教 / 無関心 / 19世紀 / 19世紀前半 / リヴァイヴァリズム / 多数の専制 / ロマン主義(シャトーブリアン) / 民主的文学 / 民主的個人 / パスカル |
Research Abstract |
採用一年度目(2004年度)は、トクヴィルのデモクラシー論における「精神的個人主義」の検討を通じて、民主的個人の思惟様式を析出した。それは、民主社会のなかで世論の専制を招来する個人の精神的メカニズムである。と同時に-トクヴィルが啓蒙主義者と最も異なる側面として-、世論の同調圧力に対する自由の保障としての宗教の役割を彼のテキストに即して整理した。 採用二年度目(2005年度)は、実際にアメリカにおいて宗教が民主的思惟様式に対する自由の保障たりえたかを検証した。とりわけ、彼の訪れた民主社会形成期の「リヴァイヴァリズム」における世論と宗教の専制の共犯関係を明らかにした。今日まで続くアメリカ政治の宗教との癒着の起源を詳らかにする一方で、この点では現実とは異なるアメリカ社会を表象したトクヴィルの宗教観は、同時代フランスの政教関係という文脈で考察しなければ理解できない点を確認した。 採用三年度目(2006年度)は、19世紀前半フランスの政教関係の把握に着手した。具体的には、立憲王政期(1814-48年)の政教関係を、カトリック・リベラリズムの思想を中心に検討した。なかでもトクヴィルの世代に多大な影響を及ぼしたフェリシテ・ロベール・ド・ラムネの『宗教的無関心に関する試論』(1817-23年)や新聞『未来』(1830-31年)の書論稿を分析した。かくして、宗教社会の崩壊がもたらした宗教への無関心と政治や他者への無関心との関係への彼の視座に注目することを通じて、民主的な個人主義に抗して自由を保障する宗教像を浮かびあがらせた。 今後の課題は、トクヴィルより上の世代のフランスの思想家(たとえばシャトーブリアンやスタール夫人)の宗教観の知的影響を改めて検討し、彼の宗教観そして視座を鮮明にすることで、トクヴィル思想の全貌および民主社会における感情=関心の政治学の可能性を検証することにある。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)