Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度に引き続き、北海道立林業試験場試験地内にある落葉広葉樹二次林において樹木の開葉フェノロジーに伴う葉質の変化が植食者に与える影響について調査を行った。フユシャクガが高密度に観察された2005年春に対して、2006年春はフユシャクガは低密度で推移した事から、フユシャクガ大発生年と非発生年間で、シラカンバ、ウダイカンバ、ミズナラの3種について開葉パターンと開葉に伴う葉質の変化および食害パターンを比較した。大発生年と非発生年では、食害率は異なるものの、樹種ごとの食害パターンは似通っていた。シラカンバは未熟葉、成熟葉ともに食害をうけにくく、ウダイカンバは未熟葉では食害率は低く推移するものの夏期に多く食害を受けた。一方ミズナラは開葉期に全生育期間に受ける食害の大部分を占める食害を受け、その後成熟葉では食害を受けにくかった。葉の形質を調べたところ、カンパ2種では開芽直後の短い期間だけ見られる特異的な防御形質(Glandular trichome)の存在が確認され、その物質が存在する期間は高いC/N比を示した。また、量的防御物質である縮合タンニンはシラカンバで最も高く、葉が成熟するにつれ増加した。一方ミズナラでは、開葉期のC/N比は低く、カンパで見られるような特異的な防御形質は全く見られなかった。しかし葉の伸長終了後、急激に堅さが増加した。以上の結果から、樹種ごとに開葉フェノロジーに伴う葉の形質変化のパターンは異なり、食害パターンは刻々と変化する葉の形質をよく反映していることが示された。
All 2006 2005
All Journal Article (6 results) Book (3 results)
Annals of Botany 97
Pages: 813-817
Eurasian Journal of Forest Research 9
Pages: 69-78
Population Ecology 48
Pages: 23-29
Annals of Botany (掲載決定)
森林科学 45
Pages: 25-31
Phyton 45
Pages: 163-168