Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、Phytophthora(エキビョウキン属)とその近縁種及び原生動物において、遊走子の鞭毛機能、特に細胞の推進力発生におけるマスチゴネマの働きを分子レベルで明らかにすることを目的とした。これまでに、その基礎研究において作製したPhytophthora遊走子のマスチゴネマに対するモノクローナル抗体を用いて、蛍光抗体法および免疫電子顕微鏡法により、その抗原タンパク質の遊走子細胞における局在性を明らかにした。今回、この特異性の高い抗体を用いて、免疫沈降法による抗原タンパク質、すなわち、マスチゴネマ構成タンパク質の高純度精製を試みた。遊走子からではなく菌糸から粗抽出を行うことにより、目的タンパク質のロスを最小限に抑えた。また、粗抽出液をsepharose beadsでpre-washすることにより、非特異的に吸着するタンパク質の最終試料への混入を防いだ。更に、精製過程の遠心操作を極力軽く行うことにより、機械的作用による結合タンパク質の解離を防いだ。最終試料を電気泳動法によって分離し、精製度の高いマスチゴネマ構成タンパク質を得た。現在、切り出した目的タンパク質の部分アミノ酸配列を解析中である。