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¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
沈降域における沖積層の発達様式を検討するために,第四紀後期における沈降速度が国内最大級の越後平野南東部において掘削されたボーリングコア堆積物を高精度に解析した.掘削地点は能代川が形成する扇状地の末端に位置しており,海性堆積物と比べ研究例の少ない,内陸部における河川性堆積物の沈降への応答を検討するのに適している.ボーリングコア堆積物は,新潟県五泉市中野地区の標高10mの地点において,二重管コアパックサンプラーを掘削され,コア長は40mである.コア堆積物は半裁したのち,肉眼と軟エックス線写真を用いて岩相と生物化石相を詳細に観察し,コア堆積物から採取した合計13試料の植物遺体についてAMS、法により放射性炭素年代を測定した.コア堆積物は,下位より氾濫原性砂泥互層(深度:37〜22m),河川チャネル性砂層(深度:22〜15m),塩水湿地性泥層(深度:15〜9m),現世河川性堆積物(深度9m〜地表面)に区分される.採取した植物遺体は9610〜5400calBPの放射性炭素年代値を示しており,地表面を1950calBPと仮定した場合,上記堆積物の堆積速度はそれぞれ0.68m/100yr,1.81m/100yr,0.19m/100yr,>0.02m/100yrである.コアサイトにおける堆積環境は氾濫原性堆積物(約10000年前)から塩水湿地性堆積物(約7000年前)にかけて上方深海化しており,堆積速度や河川勾配も塩水湿地性堆積物の堆積開始時期から鈍化・低下している.コアサイトにおけるこれら堆積相・堆積速度・河川勾配の垂直変化は完新世における海水準変動とおおよそ対応していると考えられる.また,堆積曲線と海水準変動曲線との対比から完新世における5m以上の累積沈降が指摘できる.急速に堆積した河川チャネル性砂層は地震や洪水に伴うイベント堆積物である可能性がある.
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