ダイオキシン類の毒性発現に関わる原因遺伝子の探索を介したトキシコゲノミクス研究
Project/Area Number |
04J02769
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Environmental pharmacy
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Research Fellow |
川上 隆茂 東京理科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ダイオキシン / 感受性差 / 口蓋裂 |
Research Abstract |
TCDD毒性には、動物種間あるいは系統間で著しい感受性の相違が存在する。このような、種差あるいは系統差の多くは、主にTCDDとの結合親和性の違いをもたらすAh受容体(AhR)の一次構造の違いに原因があると推測されている。実際に、B6とD2マウスのAhRは転写調節領域の大きな構造的違いに加え、TCDDの結合ドメインにおけるアミノ酸変異を有し、結合定数において約10-14倍の差があることが報告されている(Ema et al.,1994)。しかし、AhRの構造に依存しない生体毒性の系統差を示す事例がいくつか知られている。B6およびD2マウスのポルフィリン発症およびHLZとSD-IGSラットにおける胎仔死亡・胎盤機能不全の系統差を決定する因子には、AhR以外の感受性決定遺伝子が存在することの報告がある(Robinson et al.,2002,Kawakami et al.,inpress)。しかし、そのような遺伝子を単離し構造決定した報告はひとつもなされていない。 本研究では、AhRの一次構造が異なるB6(AhR^<b-1/b-1>)とD2(AhR^<d/d>)マウスのB6D2F1インタークロスマウスを交配して得たB6D2F2インタークロス胎仔から、同一のAhRアレルを有する集団(AhR^<b-1/b-1>,AhR^<b-1/d>,AhR^<d/d>)を分離し、TCDD曝露による口蓋裂発症率および胎仔肝臓内遺伝子変動にAhR以外の遺伝的背景(Modifier)が影響するかどうかについて検討した。口蓋裂の発症に関しては、(1)B6D2F2 AhR^<b-1/b-1>マウスにおいてほぼ100%の発症が確認されたこと、(2)B6D2F2 AhR^<d/d>ウスではおよそ10%の胎仔に口蓋裂の発症が確認されたが、F0世代のD2マウスでも同様の発症率が確認されたことからAhR以外の遺伝背景は感受性の決定に関与していない可能性が示唆された。また、DNAマイクロアレイを用いた解析から、B6とD2マウスのCYP1A2 mRNAの誘導率には著しい個体差が存在し、B6D2F2 AhR<d/d>マウスには、F0世代D2マウスでは認められないCYP1A2 mRNA誘導率の著しい個体差が認められたことから、B6由来のModifierがTCDD曝露によるCYP1A2 mRNA誘導能に関与していることが示唆された。現在、CYP1A2 mRNA誘導が高い個体と低い個体に関して、全ゲノム約10cMあたりのマイクロサテライトマーカーを設定してModifier遺伝子の探索をおこなっている。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)