Research Abstract |
平成16年度は,交付申請書の項目1.〜2.に対応して以下の成果を得た. 1.位相限定相関法(Phase-Only Correlation : POC)の画像照合技術(画像間の位置ずれ量・回転角度計測)と指紋画像の周波数領域における特徴とを利用した高精度な指紋照合アルゴリズムを検討した.具体的には,登録されている指紋画像と入力された指紋画像との間の位置ずれと回転角度とをPOCを使って推定し,画像間の共通部分のみを取り出すことで照合精度を向上させた.また,指紋画像の周波数領域における振幅特性は楕円状に分布している.指紋パターンの情報は,ほとんどこの楕円の帯域内に含まれているので,楕円部分の周波数帯域付近を使って照合することにより,高精度な指紋照合アルゴリズムを開発した.開発した照合アルゴリズムは,複数の大規模な指紋画像データベースを用いて照合実験を行い,状態の悪い指紋画像を従来の照合アルゴリズムよりも高精度に照合できることを確認した. 2.ディジタル反応拡散システム(Digital Reaction-Diffusion System : DRDS)を使って,傷ついた指紋や乾燥している指紋から採取した状態の悪い指紋画像から元の指紋パターンを復元するアルゴリズムを検討した.そして,指紋照合装置に搭載されている指紋センサを使って採取した指紋画像の画素を人工的に減少させて(サブサンプリングさせて)情報が欠落した指紋画像を作成し,DRDSを使ってこの指紋画像から元の指紋パターンを復元する実験を行い,原画像と復元画像を評価することでDRDSを使った指紋画像復元アルゴリズムの復元精度を調べた.実験結果より,指紋照合装置の一機能として有効に活用できることを確認した.また,DRDSが有する自発的な画像生成能力を利用した最短経路探索アルゴリズムを検討し,複雑な経路から正確に最短経路を求められることを確認した.
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