Project/Area Number |
04J03330
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Ecology/Environment
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小口 理一 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 順化能力 / 葉緑体 / 葉の解剖学的性質 / ギャップ更新 / 種間差 / 光合成能力 / 光順化 / 森林更新 / 光合成光順化 / 成熟葉 / 光合成モデル |
Research Abstract |
自然環境における光合成光順化のメカニズム、種間差の原因を調べるため、林冠の閉じた冷温帯広葉樹林でギャップを形成し、木本実生の葉の生理的、解剖学的性質の変化を観察した。調査地には北海道大学苫小牧研究林を選んだ。林床の実生の光合成特性を調査した後、ブルドーザーで木を引き倒すことで人工的にギャップを形成、その後の実生の応答を追跡した。材料には遷移系列上での出現時期や生活型の異なる4グループ(遷移先駆種、亜高木種、遷移後期種、ツル植物)、8種を用いた。ギャップ形成後はツル植物であるツルアジサイ、イワガラミ以外の全ての種で光合成能力が増加した。葉は光合成能力を高めるためには葉緑体を増やす必要があるが、葉緑体は細胞間隙からCO_2を受け取るために細胞表面に存在する必要がある。ハリギリ、ホオノキ、ミズナラでは陰葉の細胞表面に葉緑体が存在しない隙間があり、その隙間を埋めるように葉緑体が大きくなることで光合成能力が上昇していた。ハウチワカエデ、イタヤカエデでは葉肉細胞表面積が大きくなることで光合成能力が上昇していた。アオダモでは両者の中間的な応答が見られた。ツル植物では、細胞表面付近に葉緑体が存在しない隙間があったにもかかわらず光合成能力が上昇しなかった。ギャップ形成による光環境の向上に対する応答と、そのメカニズムは種間で異なったが、光合成能力の上昇に葉緑体が細胞間隙に接する面積の増加が欠かせないことは共通していた。一方で、成熟葉の光順化能力を持つためには、葉緑体を伸ばす隙間を空けるために葉を厚くするコストや、葉の強度や病原菌耐性を抑えて厚さの可塑性を保つというリスクを負う必要があると考えられた。実生がギャップ形成を経験できる確率は不確定であるために、光順化能力を持つためのコストやリスクを抑える戦略を採る種が存在すると考えられ、これが光順化能力の種間差をもたらすものと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)