Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
一般に触覚で2次元の比較的大きな対象を知覚する際には,手の有効視野が狭いために,手指の運動情報による保障が重要であると考えられている.例えば,手指を動かしながら触対象の感覚情報を何らかの記憶に蓄積し,それらの情報を手指の運動情報をもとに統合することで,触対象の知覚が達成されるという考え方がある.また,我々の視野は中心視と周辺視で異なる構造をしており,詳細な形態に基づく判断や色彩の知覚は周辺視にまでは及ばないといわれている.しかし,我々の日常の視野はこれを感じさせない.これを説明するために,眼球運動しながら網膜中心部の情報を逐一視覚性の記憶に蓄積し,眼球運動情報をもとに統合することで,仮想の視野が脳内に生成されるという考え方がある.両者の共通点は,狭い範囲の感覚器情報を記憶と運動による統合過程で補う点である.本研究ではこの時視覚と触覚でそれぞれ記憶に蓄積される記憶内容と記憶項目数に着目し,この記憶がワーキングメモリであると想定した上で,これら2つのモダリティにおいて能動的な空間探索中に保持可能な記憶項目数を求めた.その結果,視覚ではこの項目数は視空間的ワーキングメモリの上限に相当するが,触覚では1個前後と著しく少ないことを発見した.さらに,この実験結果が,視覚と比較して触覚の有効視野が狭いことで説明できる可能性を示した. さらに,近年の研究成果によれば,上記の視覚の例に挙げられる局所情報の採取と統合は,例え眼球が静止していても生じるという.現在P.Cavanaghと共同で,このような場合に眼球運動に代わって視覚的注意が空間内を移動し,感覚情報を採取するという仮説を検証している.今年度はこれをPerception of objects on the flyと名付け,研究成果の一部を公表した,さらに類似した実験を,眼球運動中と眼球静止時に比較・検討するための実験をA.Huntと開始し,現在も日本と米国の2箇所で継続中である.
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