Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
WKB法や鞍点法といった特異振動(漸近解析)の手法は、数学的には未整備の部分もあるけれど、物理の諸量を概算する上で役に立ってきた。そればかりでなく、量子・古典力学、熱・統計力学といった大きな2つの分野をつなぐ手法でもある。これらの手法は19世紀から知られている原始的な手法であるが、数学的に未整備な状態が続いたためか、その改良もほとんど進んでいない。18年度には、WKB法の改良であるcubic-WKB法に対応して、鞍点法の改良であるcubic鞍点法を完成させ"cubic steepest descent method"として論文を執筆した。また、これを数学的に説明するための道具として"Graph theoretic reformulation of traditional steepest descent method"を執筆した。平成18年度末には、さらにこれらの手法の不備が見付かったので、これを補う手法を完成させた。この手法の物理への適用が今後の課題である。