Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
1.カイノカワは,形態学的研究が不十分なため,この種の定義は不明確であった。これまでの研究で,この種が,ブラジルで記載されたP.boudouresqueiと栄養組織と生殖器官の形態が一致することがわかったため,本年度は,ブラジルのP.boudouresqueiの標本を得て,他のイワノカワ科の種とともに核の26S rDNAの部分配列と葉緑体のrbcLについて系統解析を行った。その結果P.boudouresqueiはカイノカワと単系統のグループとなり,他の種とは明らかに区別された。また,26S rDNAやrbcLのほか,ミトコンドリアのcox2-3 spacer領域についてもカイノカワとP.boudouresqueiの配列を比較したところ,いずれの遺伝子の塩基配列においても,日本とハワイのカイノカワとブラジルのP.boudouresqueiに区別できるが,遺伝的変異は種内レベルであった。そのため,P.boudouresqueiは,カイノカワP.japonicaのシノニムとして扱うべきである。 2.エツキイワノカワは,日本で記載された種であるが,南アフリカで記載されたP.capensisと栄養組織と四分胞子体や雌性配偶体の生殖器官の形態が類似しているため,P.capensisと同種として扱われる場合がある。しかし,種レベルの分類形質として重要な精子嚢の発達様式が,エツキイワノカワでは不明確であったため,タイプ産地の標本をもとに,エツキイワノカワの定義を再検討した。その結果エツキイワノカワは,P.capensisと栄養組織と生殖器官の形態が一致していた。 3.南太平洋でP.capensisとして報告されている種は,原記載の種やエツキイワノカワと異なり,藻体内部に石灰粒を持たないことが以前から指摘されていた。そこで,日本の南西諸島と太平洋各地の石灰粒を持たないP.capensisについて形態観察をしたところ,石灰粒を持たないP.capensisは,石灰粒を持つP.capensisやエツキイワノカワと同様な雌雄の生殖器官の形態をもっていた。しかし,26S rDNA, rbcL, cox2-3 spacer領域の塩基配列による系統解析では,石灰粒を持たないP.capensisは,石灰粒を持つP.capensisとエツキイワノカワのグループとは,別種であることが示唆された。 4.また,殻状紅藻の標本114個を北海道大学標本庫SAPへ収蔵する作業を行った。
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