シャルル・ケックランの<ジャングル・ブック>-フランス音楽の伝統に関する-試論-
Project/Area Number |
04J04201
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Aesthetics/Art history
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Research Fellow |
安川 智子 東京芸術大学, 大学院・音楽研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 音楽史 / フランス音楽 / シャルル・ケックラン / 音楽社会学 / 19〜20世紀 / 旋法 / ブルゴー=デュクドレイ / 19世紀〜20世紀 / 管弦楽法 / 交響詩 |
Research Abstract |
本年度は、まず4月に「<アルス・ガリカ>が伝えたもの-国民音楽協会の裏側で」という題目で、音楽史研究会において口頭発表を行なった。これにより、修士論文以来の問題意識である、<フランス人のナショナリズムと民族起源をめぐる論争が、音楽生産とどのように関わっているか>ということについて、整理することができ、また現在の《ジャングル・ブック》研究とのつながりも再確認することができた。 夏には再びパリで資料収集を行なった。国立図書館において、ケックランの自筆楽譜やスケッチ(《エンデュミオン》、《森》)を参照できたことは大きな収穫であった。これにより、《ジャングル・ブック》の重要な音楽動機である「森」のテーマを確認することができたからである。複数の楽曲で共通して用いられているこの「森」のテーマは、単純な旋法的旋律を和声化したものであることが分かった。 ケックランにとって重要な音楽的要素である「旋法」については、彼が自分の著作の中でもたびたび言及しているブルゴー=デュクドレイの理論が大きな意味を持っていると予想されたため、ブルゴー=デュクドレイが1878年のパリ万国博覧会で行なった「ギリシャの旋法音楽について」という講演記録を手に入れた。ブルゴー=デュクドレイと彼の旋法理論について調査するにつれて、この19世紀の理論が、ギリシャ旋法、教会旋法、調性、民謡、オリエントの旋法、半音階などを全て折衷した独自のものであることが分かり、さらに、ケックランだけでなく、19世紀当時の多くのフランス人作曲家に影響を与えていたことが見えてきた。 この成果を用いて、10月の日本音楽学会全国大会では、「シャルル・ケックランの《ジャングル・ブック》-"現代フランス音楽"としての森の管弦楽法」として口頭発表を行なった。また、博論のテーマの焦点を「旋法(モダリテ)」にしぼるという方向付けができたことは、大きな前進である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)