Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
横浜市南部に分布する上部鮮新統〜下部更新統上総層群大船層と小柴層からは,Lucinomaで主に構成される化学合成化石群集が産出する.この群集産出地域において,層理面に平行と垂直にボーリング調査を行い,群集の地下断面を観察した.コア中の化学合成二枚貝の産出数と炭酸塩コンクリーションの発達程度から,湧水の活動規模を推定し,湧水が活発な時期と弱い時期で岩相や炭酸塩鉱物の種類と産状に違いがあることを明らかにした.また,認定されたナンノ化石基準面や凝灰岩層のFT年代測定に基づき,湧水の活動が長期間に渡って断続的に活動していたことが明らかになった.この結果は,従来全く知られておらず,特定の化石群集において,このような湧水活動の違いと岩相,炭酸塩コンクリーションの形成過程との関連を始めて議論することができた. 活発な時期:化学合成二枚貝の産出が多く,コア中には,周囲の露頭とは異なる特徴を持つ層準が観察される.炭酸塩コンクリーションはよく発達し,方解石→霰石の順に晶出し,炭素同位体比が低い値を示すことからメタン酸化の影響を受けて沈殿したと考えた.方解石は還元的な,霰石は酸化的な環境で沈殿しやすいことが知られており,この層準では堆積物中で方解石が沈殿した後,コンクリーションが堆積物表面に露出し,霰石が沈殿したと考えた.このようなコンクリーションの存在は,現生のポックマーク地域で知られ,すなわちこの層準では,ポックマークをつくるような爆発的なメタンの放出があり,方解石→霰石の順で沈殿,特徴的な岩相の層準,が形成されたと推定した. 弱い時期:化学合成二枚貝の産出は少なく,コアの岩相は,周囲の露頭の岩相と同じである。コンクリーション化は弱く,微晶質セメントの方解石(δ^<13>C=-35‰以下)が,その下位で,微晶質セメントの苦灰石(δ^<13>C=-4‰以上)が晶出する.このような炭酸塩鉱物の違いは,元々の堆積物中の間隙水の違いを反映し,重い同位体比を持つ苦灰石は,メタン生成帯における重い炭素同位体比を持つ二酸化炭素の影響であると考えた.
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