Project/Area Number |
04J04973
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
土木材料・力学一般
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Research Fellow |
森次 圭 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | ランジュバンモデル / 摩擦係数 / 平均場ポテンシャル / 速度相関関数 / 分子動力学シミュレーション / 基準振動解析 / 中性子散乱スペクトル / 動的構造因子 |
Research Abstract |
本研究では、中性子非干渉性非弾性散乱実験と計算機シミュレーションのハイブリッドにより蛋白質の運動モデルを構築し、蛋白質の機能発現過程を分子運動という観点から物理化学的に理解する。本年度の研究では、蛋白質の振動運動が分子内相互作用や溶媒効果によりどのような影響を受けるかを理論的側面から解析した。具体的には、分子動力学(MD)シミュレーションにより再現されたミオグロビンの運動を基準振動モードに基づいたランジュバン振動子の重ね合わせとしてモデル化し、モデルパラメータである摩擦係数と振動数を計算することにより、異なる温度・水和条件で蛋白質のポテンシャル面がどのように変化するかを観測した。 ランジュバンモデルから得られた振動数がポテンシャル面の平均的な曲率を表すのに対し、摩擦係数はポテンシャル面の粗雑さを意味する。摩擦係数は高温になるにつれ、また、分子内相互作用の大きさや溶媒との接触面積に応じて大きくなった。つまり、非線形性の強さに応じてポテンシャル面の粗雑さも増す。MDから計算された摩擦係数は、振動モードの振動数と立体構造上の運動、つまり、振動モードの接触水和断面積や他の振動モードとの重なりから定量化できた。ポテンシャル面の曲率は、真空中では分子内相互作用により広がるのに対して、溶媒中では周りの水分子の閉じ込め効果により狭まる。曲率変化は非線形性の強い低振動モードほど大きいことが示された。最後に動的構造因子と振動スペクトルの計算結果から、ランジュバン振動子モデルが蛋白質の振動運動をよく再現することが確認された。これらの結果により、基準振動モードとモードの立体構造上の運動をもとに定量化されるパラメータを用いて理論的に得られるランジュバン振動子モデルは、振動スペクトルの実験データの解析に適用しうると期待される。
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