社会主義市場経済移行期内モンゴルにおける牧畜民の社会経済的動態
Project/Area Number |
04J05669
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
児玉 香菜子 名古屋大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 水資源 / 中国内モンゴル / 文化人類学 / モンゴル牧畜民 / 市場経済化 / 土地私有化 / 生態移民政策 / 砂漠化 / 内モンゴル / 牧畜民 / 環境問題 / モンゴル / 市場経済 / 生態移民 |
Research Abstract |
1.自然環境と杜会環境の変動:水資源の減少と農地拡大 内モンゴルオルドス地域ウーシン旗における過去50年の自然環境の変化とは降雨量の減少である。社会環境の変化とは、人口増加と農地面積の増加である。この干ばつ下における農地拡大政策が土地荒廃を引き起こしたことが統計資料と聞きとり調査から明らかになった。 内モンゴ西部、黒河下流域に位置するエチナ旗はゴビ砂漠が広がる中に、黒河の豊富な水源によってオアシスが形成されていた。しかし、黒河中流域の大規模灌漑によって、下流域への供給流水量が激減し、末端湖が枯渇し、それが黄砂の発生源となっている。こうした水資源の減少に加え、人口増加、農地拡大が起き、土地荒廃が引き起こされたことが明らかになった。水資源の減少と土地荒廃への対応として、伝統的土地利用に根ざした水資源節約型の移動放牧と水資源浪費型の地下水を利用した灌漑の二極化が進んでいるが、灌漑には、塩害や地下水低下といった生態環境悪化の危険があることが明らかになった。 2.中国政府環境政策の危険性 砂漠化問題で重要なことは、市場経済化政策が土地の私有化など農耕民的発想によってすすめられ、そのために、自然資源の保護を考慮しつつ進められてきた牧畜経営が困難になっていることである。黄砂や砂嵐が環境問題として注目される中で、内モンゴル全域で現在環境政策が積極的に推し進められているが、この環境政策も、定着化および灌漑による家畜飼料の栽培で家畜の畜舎飼育をおこなうことを前提とし、農耕民的発想によってすすめられている。これまでの研究成果とフィールド調査をもとに国際シンポジウム・研究会発表や論文発表をおこない、中国政府の環境政策は地下水資源の枯渇の危険性を持つこと、乾燥地における環境保全には、農耕民的な発想を脱し、牧畜民の民族知に立脚した政策モデルが必要であることを指摘した。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)