酸化物高温超伝導体の電子構造と電子輸送現象〜角度分解光電子分光を用いた評果〜
Project/Area Number |
04J05722
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical properties of metals
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
近藤 猛 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 角度分解光電子分光 / Bi2201 |
Research Abstract |
高温超伝導体が有する超伝導ギャップの対称性を調べることは、超伝導の発現機構を解明する上で重要である。これまでBi_2Sr_2CaCu_2O_<8+δ>(Bi2212)を用いた角度分解光電子分光(ARPES)測定が活発になされ、過剰ドープ試料と最適ドープ試料の超伝導ギャップ(Δ_k)が単純なdx^2-y^2波対称性を有することが示された。一方、電子相関が増強する不足ドープ領域ではその対称性から変化することが報告されている。この結果は、超伝導ギャップの対称性に電子相関が強く関与することを示唆する。 本研究では、様々なホール濃度を有する(Bi,Pb)_2(Sr,La)_2CuO_<6+δ>(Bi2201)を用いてARPES測定を行い、超伝導ギャップの方位依存性を決定した。また、不足ドープ領域で増大することから電子相関に起因することが考えられる擬ギャップの温度依存性を(π,0)近傍で測定し、それが開く温度(T^*)を見積もった。超伝導ギャップの大きさは、スペクトルのエッジがフェルミエネルギーからシフトする量から見積もった。それぞれT_c=21K、35K、及び23Kを有する過剰ドープ試料(OD21K)、最適ドープ試料(OP35K)、及び不足ドープ試料(UD23K)を用いて超伝導ギャップの方位依存性を決定したところ、すべての試料における超伝導ギャップの対称性が、単純なdx^2-y^2波対称性から大きくずれていることが分かった。またBi2201(TC^<max>=36K)のT^*は、各ホール濃度領域でBi2212(T_c^<max>=92K)と同程度であり、T_cとはスケールしないことが明らかとなった。これらの結果から、Bi2201では過剰ドープ領域から電子相関が効果的に寄与することで超伝導ギャップの対称性がくずれ、それに伴いT_cがBi2212に比べて低下することが示唆される。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)