Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
有機化合物への窒素官能基導入は、酸化官能基の導入と並ぶ基本的な化学変換反応であり、適用範囲が広く、高収率、高選択的な、かつ環境への負荷が小さい窒素官能基導入を目指した研究が活発になされている。本研究では、これらの要求を満たす原子効率に優れた高エナンチオ選択的アジリジン化、スルフィミド化、C-Hアミノ化反応の開発を目的としている。 近年当研究室では、サレン-ルテニウム錯体がアジド化合物をナイトレン前駆体とするアジリジン化を触媒することを見出し、原子効率の点で従来法に比べて著しい改善をもたらした。しかしなお、不十分な触媒回転数(TON=36)とナイトレン前駆体に由来するN-保護基の温和な条件化での脱保護という二つの問題が残されていた。そこで、昨年、配位子のフェニル基の3,5位に塩素を導入した錯体を合成し、p-トルエンスルポニルアジドをナイトレン前駆体とするアジリジン化を検討したところ、高いエナンチオ選択性を維持したまま回転数(982回)を大きく向上させることができた。さらに、2番目の脱保護の問題に関しても、温和な条件下で除去可能なN-保護基を持つ2-トリメチルシリルエタンスルポニルアジドを用いても高エナンチオ選択的に反応が進行することがわかった(Tetrahedron Lett.2006,47,1571)。この反応の基質は末端オレフィンと一部のシス-二置換オレフィンに限られているが、反応性の低いα,β-不飽和エステルなども収率良くアジリジン化される。本法は、原子利用率が高く環境への負荷が小さなアジリジン化であるばかりでなく、キラルな無保護アミン類の合成に新たな方法論を提供するものであると考えている。今年度、これまでの研究内容をまとめてChemistry-An Asian Journal誌(2007年、2巻、p.248)に報告した。
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