Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
動脈硬化症の発生要因には,医学的因子はもちろん,血管内皮細胞にかかる壁面せん断応力などの流体力学的因子も関与していると考えられている.しかしそのような血管にかかる流体力学量と病変の関連については未だ決定的な理解には至っていない.そのような現状を踏まえ,本年度は管弾性および流れの非対称性に着目し,病変好発部のY字分岐管を用いた脈動実験および数値解析から,それぞれの特性が流れ場や壁面せん断応力に与える影響について明らかにすることを目的とした. 本年度,得られた主な知見は以下の通りである. 1.剛体・弾性Y字管での同タイプの脈動流量波形実験より,壁面近傍の流速から壁面せん断応力の空間分布および時間変動分布を計測し,両者の相違について検討を行った.その結果,弾性管と剛体管の相違は,特に弾性壁が増加する所で,壁面近傍の速度勾配の低下として現れ,その影響で弾性管の方が剛体管よりも壁面せん断応力を小さくする効果があることを明らかにした. 2.剛体Y字管において,分岐後の流路閉塞過程を摸擬した分岐左右の流量分配比をパラメータとし,その非対称性の影響について検討した.その結果,小流量側では大流量側よりも早くはく離が発生し,その領域も大きいことなど流量分配比の影響は特に流量が小さい小流量側で顕著に現れ,また分岐上流ではほとんど影響は少ないことなどを明らかにした. 3.実験に合わせた流れ場の数値解析から壁面せん断応力の変動などを算出し,実験結果との比較を行った.その結果,分岐内側のせん断応力の周期的変動は流量波形の変動と対応すること,分岐点近傍において比較的高いせん断応力が現れることなど,実験結果と定性的に一致しており,脈動流れ場における壁面せん断応力分布の1周期中の変動は,PIV計測結果を用いてもその変化傾向を十分に評価できることを確認した.
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