Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
18年度は、17年度までに開発した、ダイニン分子モーターの力発生時の動態を詳細に計測するためのアキシコンレンズを用いたレーザー暗視野顕微鏡で、定常的に、主確な計測を可能にするための計測・位置制御プログラムを作成し、そのプログラムを用いて光学系を最適化し、昨年度から飛躍的に計測の信頼性を向上させた。以下に過去年度の状況を踏まえ詳しく述べる。17年度までに、アキシコンレンズを光学系に組み込んだレーザー暗視野照明を試用したが、高出力で、正確な計測を定常的に行うことができなかった。これは以下の2つの原因によるものが大きい。1.アキシコンレンズを用いた光学系で試料面に形成される集光パターンが適切ではなかった。2.1.で記した非理想的な集光パターン上の、理想的ではない位置に計測対象となるビーズがあった。実際の生物試料での計測を行うためには、集光パターンを評価、最適化し、得られたパターンの最良な位置に計測対象となるビーズを位置させることが不可欠である。そのために、(1)光学系によって形成されている集光点パターン中心近傍で計測対象となるビーズをスキャンし、(2)そのときに散乱される光の強度を測定し、ビーズの位置に対する散乱光の強度をプロットした散乱高強度マップを作成し、(3)そのマップ上で出力が高強度で、かつ安定に得られる場所にビーズを移動するプログラムを作成した。このプログラムを用い、光学系を最適化する手法を確立した。そして集光点の最良な位置にビーズを移動させ、計測することが可能になり、飛躍的に、効率的かつ、定常的に数10pmの位置精度で、最大0.1msの時間分解能の高精度の計測が可能になった。現在、このプログラムを用い、鞭毛上に付着させたビーズの変位計測を行っており、ダイニン分子モーターの運動を反映していると予想されるサブステップ様の運動が観察されている。