Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
今年度(平成18年度)は,昨年度(平成17年度)に引き続き,慢性のPTSD患者に対する認知行動療法の適用事例の分析を行った。研究代表者が実施した実際の臨床場面を録画したビデオや,面接者と患者の発話内容を記録した逐語録を参照しながら,効果的な面接について検討を加えた。PTSD患者のなかには,外傷的な出来事を経験した後,数年間も,精神的な不調に悩まされるケースがある。そのような場合,パーソナリティ面に変容を来たし,自尊心や対人関係が大変不安定になり,治療関係にも支障を来すことがある。慢性のPTSD患者との面接場面では特に,患者が治療から脱落するのを抑えながら,外傷的な出来事の記憶に直面させる高度な技術が必要とされた。想起の臨場感を高めつつ,温かい励まし,現実感の強調,体験の合理的な意味づけなどを行いながら,記憶に対する統制感を慎重に育むことが必須であった。具体的な言葉がけ,メタファー,ジェスチャーについては,米国の治療例(ビデオ)と比較しながら,日本国内の患者に適した関わりを探求した。面接外の緊急時対応についても,院内の救急外来との連携など,不安定な患者の安全を守る手段の確保が必要と考えられた。今年度は,半期で特別研究員を中途辞退したため,研究計画を十分に展開することができなかったが,今後も引き続き,PTSDに対する認知行動療法の効果研究を続ける予定である。本研究の知見は,治療マニュアルにまとめることを検討している。
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