Project/Area Number |
04J07652
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Kyoto University (2006) Tohoku University (2004-2005) |
Research Fellow |
大塚 良貴 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2006: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | リクール / 解釈学 / 詩学 / 歴史哲学 / 物語論 / ダントー / フランス哲学 / 存在論 / 隠喩 / ハイデガー / 歴史 / 他者 / 死 / 歴史記述 / 脱構築 |
Research Abstract |
今年度は、(1)ポール・リクールの解釈学と彼独自の「詩学」との関係についての原理的な研究と、(2)彼の解釈学を歴史の物語り論に応用する学際的な研究の二つがなされた。 (1)リクールと並び、二〇世紀の解釈学の双璧と目されるのはH・G・ガダマーだが、ガダマーは自らの解釈学を基礎づけるに当たって古代ギリシャの修辞学(とりわけプラトンの弁論術)に立ち返っている。これに対しリクールが自らの解釈学の根幹に据えるのは、修辞学ではなくアリストテレスに依拠した独自の詩学である。そこで本研究は、ガダマー解釈学との対比を通じてリクールの解釈学と彼の詩学との関係を明らかにし、この関係がもっとも顕著に現われる論点を彼の隠喩論に見定め、先の関係を<既成の言語の意味を創造的に豊かにしてゆく詩学が、そのつどの解釈・読解行為によって人間の自己了解と存在可能性の拡大へとつながってゆくプロセス>として規定した。この論点は、リクール解釈学の独自性を明らかにするにとどまらず、ハイデガー以降の解釈学の可能性を考えるうえでも重要な点を含んでいる。 (2)リクールの解釈学は哲学のみならず、文学や歴史学との接点をもっており、この両学問と深くかかわる歴史の物語り論に対して示唆するところが少なくない。まず本研究は、歴史の物語り論を理論的に基礎づけたA・C・ダントーの議論をリクールに依拠しつつ批判し、<歴史的過去の実在性はその物語り的叙述によってはじめて証明され、物語り的叙述の真は歴史的出来事の実在性を根拠とするという循環関係なしに歴史的過去の妥当性は確保されない>と提起した。また、歴史を語る行為を、過去の出来事を物語りつつもそれとは別の行為をする言語遂行行為ととらえ、この行為の内実を一方で過去の記憶を強いる呼びかけとし、他方で物語られる主体の物語り的自己同一性と自己が何者であるのかの確信の付与と規定した。なおこの研究は、『待兼山論叢』第四〇号で掲載された論文「歴史的出来事の実在性をどう考えるか」においてまとめられた。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)