Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
高等植物・藻類・光合成細菌の光合成初期過程は,光合成膜に存在する数種類の色素蛋白複合体が担う.色素蛋白複合体の動作機構の解明には,構造と機能及び機構の3者の関係を明らかにしなければならない.そのためには,複合体の構造に対する理解のみならず,構成色素と周囲との分子間相互作用に対する理解が必要不可欠である.光合成反応中心複合体(RC)は,光エネルギーを電子とホールとに電荷分離する機能を持つ.RCの機能発現に重要な役割を果たす構成色素として,バクテリオクロロフィル二量体(P)・単量体,バクテリオフェオフィチン,キノン,カロテノイド(Car)が存在する.これら構成色素は,二つの分枝上(A, B分枝)に擬二回回転対称性を保つ形で配置されている.しかしながら,そのような対称性を持つにも関わらず,Pにおいて電荷分離した電子はA分枝のみを利用して移動する.Carはこの擬二回回転対称性を明らかに崩す形で存在する唯一の構成色素である.非対称電子移動の原因を完全に理解するため,対称性を崩す形で存在するCarが他の構成色素に及ぼす静電的影響を,本研究において調べた.Car欠損変異株(Rb.sphaeroides R26.1)由来の色素蛋白複合体と,R26.1に人工的にCarを再構築した人工光合成反応中心複合体とに対して電場変調吸収分光測定を行い比較検討した.その結果,Carの有無により,P周辺の静電的環境が約10%程変化することを世界で初めて明らかにした.Carの存在が複合体内部の静電的環境に対して何らかの影響を及ぼしていることを初めて明らかにした.又,従来の電場変調吸収分光測定によって得られる非線形光学パラメータ値と,蛋白質内部の静電的環境との対応関係を定式化することに成功し,構造と機能及び機構の相関関係を探る新たな研究戦略の基盤を確立し,成果を学術雑誌等に発表した.
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