Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本年度は,昨年度まで用いてきたよりもさらに高い世界的にも例が無い解像度(格子点間隔約0.38°)で火星大気大循環モデルを用いた計算を実施した.これにより昨年度までには表現できなかったより小さなスケールの擾乱を表現することができるようになり,ダストストームの発生・発達に関わっていると考えられる中小規模擾乱について,その形態と発生原因をこれまでよりも詳しく調べることが可能となった. 計算結果から4hPa気圧面の渦度分布を調べた所,昨年度まで用いてきた中程度の解像度(格子点間隔約1.5°)の計算では見られなかった2種類の中小規模擾乱が確認された.1つは,低緯度域において午後の時間帯に発生する100-150km程度の水平スケールを持つ多数の渦群であり,1つは,タルシス高地の西斜面における,幅100-150km,長さ1500km程度に及ぶ線状渦領域(水平風のシアー)である. 低緯度域に見られた多数の渦群は,午後の時間帯に形成され夜間に散逸し,その形成領域は日周運動に同期して西向きに移動する.これらの渦群は,今回用いた高い水平解像度で表現された,局所的な熱対流に起因するものであろうと考えられる. また,タルシス高地の西斜面に見られた水平風シアーは,1火星日周期で午前中の時間帯に発生し,西に向かって斜面を下っていく.この現象の生成過程としては,日変化する加熱に伴う高地の西斜面で生じる斜面風や,高地で発生した重力波が考えられる. 本研究によって,これまでに見られなかった小規模擾乱の構造と性質が明らかになった.しかし,今回行った計算では,これらの擾乱はダストを巻き上げる上でさほど重要ではないように見える.この原因としては,解像度の不足のために擾乱に伴う風速,温度の変動幅が過小評価されている可能性が考えられる. 上記の研究結果は既に学会で発表しており、学会誌に発表するために準備中である.
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