酸化損傷DNA前駆体2-OH-dATPの哺乳動物細胞における変異誘発機構の解明
Project/Area Number |
04J09270
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 和哉 北海道大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | mutagenesis / 2-OH-dATP / 8-OH-dGTP / Y-family DNA polymerase / MTH1 / MSH2 / mutageneswis / dinB / umuDC |
Research Abstract |
1.ヒト由来培養細胞を用いて損傷ヌクレオチドによる変異誘発を解析する系を確立した。ヒト胎児腎由来の293T細胞にSV40 ori配列および変異検出用の標的遺伝子supFを含むプラスミドをトランスフェクションし、SV40 LargeT antigen依存的にプラスミドを複製させた。細胞内における複製反応のピークとなる24hr後に損傷ヌクレオチドを含む低浸透圧溶液中に暴露することで細胞内へ損傷ヌクレオチドを導入し、さらに24hr培養を行った後、複製されたプラスミドDNAを回収した。大腸菌を用いてsupF遺伝子上に変異の生じたプラスミドを選択し、supF変異体率を求めた。dGTP由来の酸化損傷ヌクレオチド8-OH-dGTPを293T細胞へ導入することにより、大きな変異体率の上昇が観察された(2×10^<-4>→8×10^<-4>)。この時誘発された変異をシーケンシングにより解析したところ、そのほとんどがA : T→C : Gトランスバージョンであった。したがって8-OH-dGTPは生細胞においても強い変異原性を有することが示された。一方dATP由来の2-OH-dATPを導入しても、コントロールと比較して有意な変異体率の上昇はみられなかった。 2.低浸透圧によるヌクレオチドの導入とsiRNAを用いたノックダウンを組み合わせることで、Y-family DNA polymeraseをはじめとする、種々の遺伝子の損傷ヌクレオチドによる変異誘発への関与について調べた。標的遺伝子として2-OH-dATPおよび8-OH-dGTP分解酵素MTH1、ミスマッチ修復関連酵素MSH2、Y-family DNA polymeraseとしてPol eta、Pol iotaおよびRev1、さらにB-family DNA polymeraseであるPol zetaの触媒サブユニットRev3に対するsiRNAを変異検出用のプラスミドと共導入し、24hr後のノックダウンをウエスタンブロッティング法もしくはRT-PCR法により確認した。同条件において24hr後に8-OH-dGTPを導入し、変異体率を求めたところ、Pol etaおよびRev1をノックダウンした場合において、8-OH-dGTPによる変異誘発が有意に抑制された。したがってこれらのY-family DNA polymeraseは、生細胞における8-OH-dGTPの取り込みもしくは修復に関与していると考えられる。一方、損傷ヌクレオチドによる変異誘発を抑制すると考えられるMTH1、MSH2をノックダウンした場合においても2-OH-dATP導入による変異誘発は観察されなかった。ヒト細胞ではGと対合した2-OH-Aを認識するDNAグリコシラーゼであるMUTYHなど様々な修復酵素の存在が示されており、2-OH-dATPによる変異誘発の抑制に関与する遺伝子についても、さらなる解析が必要である。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)