Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
放電・静電気の応用は,工業技術で役に立つ面と障害として作用する面がある.マイクロエレクトロニクス化の進行する現代社会において,放電・静電気による障害は無視できない大きな問題となっている.この問題を解決するために,放電・静電気により発生する誘導雑音を,雑音の発生,伝搬,電子機器内への侵入に分けて考え,電子機器の誤作動や電子回路の破壊を防止するための基礎研究を行った. 帯電した人体やツールワゴン等が開口部のある金属筐体(電子機器)の近くを移動すると,電子機器の誤動作や電子回路の破壊が起こる可能性がある.衣服を着用した人体の電位は,通常の環境条件で容易に10キロボルト以上に帯電する.電子機器内にある電子部品は,数ボルトの電圧で誤動作する可能性がある.この電圧は,帯電した人体の電圧に比べて非常に小さい.したがって,帯電した人体等が金属筐体の近くを移動するだけで,電子機器内には相当大きな電圧が生じる可能性がある. 実験では,帯電した人体等が金属筐体(電子機器)の近くを移動する状況を模擬するために,移動する帯電した金属板と開口部付き金属筐体を用いた.また,筐体内の電子回路基板(銅箔部分)を模擬するために,球ギャップ付きの二枚のアルミ箔を用いた.この二枚のアルミ箔間に生じる誘導電圧を測定するために,球ギャップとEMIロケータを用いた. 本研究で得られた研究成果を以下に要約する.帯電した物体(10キロボルト)が金属筐体の近くを移動すると,接地した筐体内の二つの導体間には最大で約2キロボルトの電圧が誘導する.筐体内の二つの導体が浮遊電位にあるよりも,片方が接地してある方が導体間の誘導電圧が約80パーセント高くなる.筐体内に配置した導体の面積が10倍大きくなると,誘導する電圧が1.5倍高くなる. 本研究で得られた成果は,電子機器の誤動作を防止するための機器設計の基礎として,役立つと思われる.
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