大正期消費社会の成立過程と〈文学〉をめぐる文化史的研究
Project/Area Number |
04J09910
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
瀬崎 圭二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 消費社会 / 百貨店(デパートメントストア) / 日露戦争 / 夏目漱石 / 三四郎 / 森鴎外 / 流行 |
Research Abstract |
消費社会と呼ばれる経済システムの基本構造が大正期において形成されるものであるとするならば、明治37年から38年にかけての日露戦争は、そのようなシステムの形成を可能にする上での資本主義という環境の展開を結果的に加速化していった出来事であったと言えよう。そのような問題意識から、今年度発表した拙論では、日露戦前後の状況における文化、文学現象を対象に、様々な角度から分析を試みた。「日露戦争と消費文化-百貨店(デパートメントストア)の承認-」(『同志社国文学』2004年11月)では、消費文化の発信店となった百貨店(デパートメントストア)が、日露戦争や、それを支えた国民国家と連動することでその位置を確保し、承認されていったプロセスを明らかにした。また、「<虚栄>の内実-「三四郎」の中の結婚-」(『国語と国文学』2004年6月)では、慢性不況に陥った日露戦後の経済状況と、夏目漱石「三四郎」に表象された女性作中人物との関係を抽出した。さらに、「流行論の生成を森鴎外「流行」」(『言語情報科学』2005年3月)では、欧米の心理学や社会学を模範に生産される流行論と、そのような状況の中で発表された森鴎外「流行」との差異で同一性について考察した。環境やシステムの問題に目を配りつつ表象を分析するこうした作業を通じて、日露戦前後の状況が、消費社会という経済システムを形成していく上で極めて重要な契機を作り上げていることが明らかになった。なお、以上のような問題意識とはややレベルを異にするが、「天声人語」の生成と<連載>(『日本文学』2004年11月)においても『朝日新聞』の「天声人語」というコラムが日露戦を契機に開始され、定着していった力学を明らかにした。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)