Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究の目的は近年世界的に注目を浴びている核力の三体力の問題に対する最終的な結論を得ることである。核力は原子核を解明するための基本要素であるから、この研究により得られる成果は原子核研究のあらゆる分野に影響を与える。クーロン力の働かない三体系である偏極中性子-重陽子弾性散乱における偏極移行係数の角分布を測定することにより、三体力のスピン依存性に関する高精度かつ詳細な知見を得ることを目指す。極移行係数の測定実験は、我々がRCNPに建設した(n, p)実験施設において行い、反跳重陽子を運動量磁気分析スペクトルメーターLASで分析した後に検出する。偏極移行量の測定では反跳重陽子の偏極度を測定する必要があり、この目的のためにLAS出口に焦点面偏極度計(FPP)を昨年度までに建設した。このFPPは元々、陽子偏極度計として設計・建設されたものである。加えて、偏極度計で重陽子の測定を行うのは陽子の測定を行うよりも非常に困難であるため、まずは陽子偏極度計として検出器の立ち上げを十分に行うことが肝要である。そこでまずは陽子-重陽子分解反応における偏極移行量測定を行い、陽子偏極度計としてFPPを使用することを目指した。そこで本年度は陽子・重陽子分解反応の微分散乱断面積及びベクトル偏極分解能の測定を行った。弾性散乱測定と比較し、分解反応測定は三核子系の任意の内部運動量に対する情報を抽出できる点が利点であるが、理論的予想に基づいて三体力の効果を見やすいキネマティックスを選ぶ事が肝要である。本年度は終状態において2つの核子がFSI状態にあるキネマティックスを選択して測定を行った。実験結果は国内外の研究会において発表された。
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All Journal Article (2 results)
CNS Annual Report 2005 69
Pages: 17-17
Phys. Rev. C (印刷中)(to be published)