Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(Single-Walled Carbon Nanotubes, SWNT)の熱問題SWNTと水の接触現象及びSWNTの輸送現象を対象に研究を行った.まず,熱問題に関して,SWNTの応用上非常に重要となる熱伝導の長さ依存性の詳細を幅広い長さ範囲に渡り検証した.非平衡古典分子動力学シミュレーションを用いて,室温下における,有限長SWNTの熱伝導率の長さ依存性を計算することによって,弾道的熱伝導から拡散・弾道的熱伝導への遷移過程を捉えることに成功した.また,SWNTと曲率のないグラフェンシートの熱伝導率の長さ依存性を比較することにより,フォノン状態密度の弾道的熱伝導及び拡散熱伝導への寄与を明らかにした,さらに,SWNT熱伝導率のチューブ直径依存性を計算することで,異なる直径におけるフォノン散乱による拡散効果の役割を議論した.SWNTsと水との接触を含む系の一例として,SWNTに水が内包された場合を考えた.SWNT内の水の動力学は,液体の輸送デバイスとしてのSWNTの応用を目的として,又は擬一次元領域内での液体の相変化の現実系として,近年注目されている.また,低次元空間内の流動現象及び相変化は,MEMSやバイオエンジニアリング等に関わる基礎的な物理の理解のためにも重要である.SWNTのような,直径数ナノメートルの流路を想定した場合,その流動特性は固液界面の特性に大きく依存する.SWNT内の水の流動を考えた場合,炭素面の撥水効果により,流れは壁面で著しく滑ることが予想され,それを活かしたデバイスの開発も考えられる.本研究では,分子動力学シミュレーションを用いて,SWNT内での水の流動及び相変化の解析を行った.まず,温度勾配によってSWNT内の水クラスターを能動的に輸送できることを濁し,その駆動力を水クラスターのポテンシャルエネルギーの温度依存性によって説明した.次に,SWNT内での氷ナノチューブの生成に関して,融点のナノチューブ径への依存性を計算した結果,以前報告されている実験結果と定量的に一致した.また,氷ナノチューブは断面形状が5角形の時に最安定構造を取ることによって,融点が室温付近で最大値をとることを明らかにした.生成後のSWNT束中には一般に金属と半導体SWNTが混合しており,電気的特性を用いた応用を念頭に置いた場合,それらを分離する方法の開発が急がれる.そこで,本研究では非均一交流電場中での誘電泳動によるSWNTの分離法に着目し,非均一交流電場によって発生する誘電泳導力,ブラウン運動,対流及びSWNT同士干渉等を考慮し,SWNTの軌跡をラグランジュ的な手法を用いて解析した.その結果,電気加熱によって起こされる対流の効果が従来の予想以上に大きく効くことが明らかになった.この結果に基づき,SWNTの誘電泳動分離装置を設計する際の新たな注意点を提唱した.
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